栄養指導というと栄養士や管理栄養士が行うイメージが強いですが、薬剤師が患者の栄養指導を行うというケースも増えて来ています。しかし薬学のプロであっても栄養学の専門家ではない為、あくまで行うのはアドバイスで、本格的な指導は栄養士等に任せるという事が重要です。では薬剤師が栄養指導する場合、いくつかポイントがあるので詳しく見ていきましょう。
患者の家族構成がどうなっているかや、家庭状況についてしっかりとヒアリングする事で、普段どういう食生活を送っているかを把握する事が出来ます。例えば一人暮らしだと、外食やスーパーで総菜を買ってきたり、加工食品やジャンクフードが多くなりがちですし、一人で食事をしていると会話する相手もいない為味気がなく、食欲もわかないという人もいます。
実際一人暮らしで買い物や家事を支援してくれる人がいないので、食事も面倒になり回数や量が減ってしまうというケースもあります。このようにまず家族構成や普段の食生活について聞く事で、何に困っているのかが分かり、適切な栄養指導が出来るようになります。
患者に栄養指導する前に、患者の現状を知る為にも病歴や生活歴等を確認するという事が重要です。薬歴管理や疾患の原因、これまでの生活習慣等を患者から聞いて、どういう問題があったかを把握しましょう。
また医師から生活指導が出ているかも聞いて、それに対して本人は納得しているのかいないのかについてもチェックしておくと良いです。何故なら患者の栄養状態が良くないと、医師が処方した薬の効果も十分出ない可能性があるからです。
その為患者が医師の生活指導に納得せず従っていないと、薬の効果も半減してしまうという事を本人に伝えて、しっかりと食事等で栄養を取る事の重要性を知らせるという事が大切です。
栄養指導をしても、なかなか良い結果が出ないという事も珍しくありません。例えば高血圧や糖尿病等の生活習慣病は、患者の食べ物の好みが原因となる事も多い為、いくら指導をしてもなかなか改善しません。例えば濃い味付けが好きだったり、肉や揚げ物が好きという患者には、いくら指導してもなかなか行動を変えさせるのは難しいです。
そこですぐに結果が出ないからと言って諦めるのではなく、少しずつ改善させていくという事が大事です。いきなり「塩分を大幅に減らせ」とか、「肉や揚げ物は食べるのをやめて魚を食べろ」、「お酒を飲むな」と言っても無理なので、食べる回数を減らすというようにもって行くようにしましょう。
「週の半分は魚を食べましょう」とか「この日だけはお酒を控えましょう」と患者が出来そうな事から初めて、徐々にその回数を増やしていくというようにすると、次第に結果が出るようになります。とにかく焦ってすぐに結果を出そうとせず、長い目で見て結果が出るような指導をするという事が大事です。