調剤薬局からがん医療チームの一員になるとがん患者の体調や症状が日々変わるのでメンバーと連絡を密にしてその変化に合わせて抗がん剤の種類や投与方法を変える必要があります。また、患者本人にその状況変化を迅速に分かりやすく伝えて安心感を共有する必要があります。
国や自治体のがん撲滅を目標とするがん検診普及啓発運動があって受診率が向上してがんの早期発見、早期治療につながり多くの命が救われています。また、新薬開発とともに治療技術も着実に上がってきて今まで治療困難視されていたがんの中にも治療可能になるがんも出てきました。
おかげで初期がんの見つかる人が増えているものの、5年がん生存率が60%を超えているし、早期発見すれば90%以上が治癒可能といわれています。現状ではがんサバイバーが5万人以上まで増えていると専門家が語っています。
これに伴い、医療機関で使用する抗がん剤の種類も増えてきた結果、がんの進行を抑制する効果が出ている反面、今までと異なる複雑な副作用を呈することも分かってきたようです。
そこで、がんの見つかった人、一人ずつ、抗がん剤治療では治療前から医師と看護師や薬剤師の他に栄養士や臨床心理士など、医療関係者がチームを組んで対応するようになっています。最近の抗がん剤治療では外来療法が多用されているそうですから患者が自宅などで抗がん剤を服用するケースが増えています。
このため、以前にも増して薬剤師の責任範囲が広がっているといえます。今までのように調剤薬局で医師の作成した処方箋内容を確認して調合し、患者に服用してもらえば良いというわけにはいかなくなっています。体調やがんの進行状況は患者一人ずつ日々異なるので抗がん剤の種類と服用方法も毎日のように変わります。
服用方法や副作用の発生具合あるいはその対処方法などをがん患者に分かりやすく伝える必要があるわけです。
また、服用後の症状や副作用の表れ方も一人ずつ異なるそうですからチームを組んだ医療関係者と連携を密にしてがん患者と向き合うことになります。従って、抗がん剤一つずつの特長に精通することが求められることになります。
また、がん患者には高齢者が多いので生活習慣病やその他の持病などを患っている人が多くなります。そこで、医療関係者のメンバーとなってがん患者のチーム医療を支える側に立つ薬剤師は抗がん剤以外の薬との飲み合わせなど、服用方法にも精通していることが求められます。
抗がん剤毎の特長や服用後に出やすい副作用などの知識や情報を自在に駆使するパワーを必要とします。